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『実験医学』報知新聞社家庭部編

大正14年9月


淋病に川セミ

マグロの中毒

胃がんの初期

水虫に白ペンキ

乳かすにワラヂ虫

脳膜炎に熊の胆

ひきつけに生大豆

たん毒(丹毒)にカニの汁

田虫やインキンの薬

鼻血を止めるには

火傷の妙薬

マムシのかみ傷

 


last update 2007.05.17

トンデモ療法はいつの世にも花ザカリだが、昔のものはかなり強烈で、歴史的記録に値するほど針が振り切れているものが多い。「折々のうた」的に少しづつ紹介します。

*( )の中はその記事を寄稿した人

 

 


淋病に川セミ
川セミという、美しい小鳥があります。よく小川のあたりにすんで、小魚や虫などをとって食べています。これをとって密閉した器へ入れ、黒焼きにして、それを粉末にしたものを、五日ないし一週間ぐらい分服いたしますと、恐ろしい淋病に、大そうなききめがございます。 

(栃木県盬谷郡 荒井某)


マグロの中毒
マグロに中毒したときは、モモを二つ三つ食えば、立ちどころに治ることうけあいなり。 

(北海道岩見沢町● 木村某)


胃がんの初期
ジュンサイと云う、古池などに生ずる水草を、せんじてのみますと、胃がんの初期だと必ず治ります。
(静岡県志太郡 某)


水虫に白ペンキ
足ゆびの間などへ、水虫が出来て困る方は、白ペンキを筆の先でぬりつけますと、不思議に治ります。
(横浜市 木野某)


乳かすにワラヂ虫
赤子の舌に、乳かすが白くついて、気持のわるいため、よく泣きます。こういうときには、俗にわらぢ虫というのを、めしつぶとよくねって、おつけなさい。乳かすはたちまちとれ、泣きやみます。
(埼玉県八木郷村徳島 浅賀某)


脳膜炎に熊の胆
脳膜炎にかかりますと、死ぬか、馬鹿になるかの何れかに、相場がきまっています。しかし熊の肝を一日二三回づつ水にといて、その病人に与えますと、不思議にもおいおいと快方に向かっていきます。しかもその多くは、馬鹿になることをまぬがれます。
(下谷中根岸四〇 全国家伝製薬研究所)


ひきつけに生大豆
小児のひきつけをなおすには、生大豆をよくかみくだいて、小児の口の中へ、あのなまぐさいにおいを、口移しにふきこんでやります。きみょうに息を吹き返します。ひきつけるくせの小児のある家庭では、常に生大豆を用意していたらよいと思います。先日、知人の家の、十ばかりになる子供がひきつけまして、歯をくいしばって、どうとも出来ませんでしたが、幸いムシ歯のすきから吹き込んで、成功しました。
(千葉県 江波戸某)


たん毒(丹毒)にカニの汁
たん毒にカニ――生きているカニなら申し分ありませんが、かんづめのカニでも結構です。つぶして、カニの汁を呑み、さらに患部へそれを塗るのです。房州の海岸の人たちは、サワガニをこれに用いています。たやすく治るので、たん毒をちょっとした風より恐れていません。ある有名な病院へ入院して、死の宣告を与えられた友人の細君が、カニのかんづめ汁をのんだだけで、奇跡的になおり、医師に首をひねらせました。
(市川町 水島某)


田虫やインキンの薬
治ったと思っても、また出てくるのは、田虫やインキンであります。これには、クルミの実をワサビおろしで、よくすってそれをつけると、奇妙に治ります。
(茨城県行方郡大生原村 今泉某)


鼻血を止めるには
鼻血の出るのを止めるには、食塩を鼻穴へ入れて、上を向いてゐる様にします。血はすぐとまります。あとで清水で洗ひますと、その気分のいいことは、また格別であります。
(上州伊勢本町 小暮某)


火傷の妙薬
カエルのタマゴをとって、ビンかその他の器に入れて、かたく保存しておきます。オタマジャクシでもいいのです。しばらくたちますと、とけて清水になってしまひます。やけどをしたとき、この汁をつけるのです。傷みがすぐになくなるばかりでなく、あともつかなくなほつてしまひます。ただしタマゴは、寒中これをとることを忘れてはなりません。
(静岡県島田町 橋爪某)


マムシのかみ傷
土佐の国ハタ郡にある村には、昔から大そうマムシの多いところです。家々の軒口には、その家の家族の数だけの竹づつがつる下がつてあります。中にはミミズを入れてあるのです。山や里へ出るとき、これを用意して行くのです。ミミズのくさつたしるが、マムシのかみ傷に大そうききめがあるのです。
(小石川区大塚仲町 能瀬某)


 

 

 

 

 

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