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月刊「自然と人間」連載中
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皇国婦人の実用お作法
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| 『婦人倶楽部』昭和14年新年号特別付録 |
▲戦死者の遺骨を迎える時は華美な服装は避け、国民精神総動員本文の定めた黒リボンをつけませう
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今回取り上げる『新実用お作法』は、昭和14年正月の『婦人倶楽部』付録(大日本雄弁会講談社刊)。「贈答のお作法」「新年のお作法」など、古典的お作法マニュアルが並ぶ中、巻頭に燦然と輝いているのが「出征、入営、戦勝、戦死に関するお作法」の章だ。
たとえば、〈出征兵士を見送る時のご挨拶〉は……
「御名誉の御出征でおめでとうございます。お身体を大切にして、お国の為に十分な御奮闘をお願い申し上げます。お留守のことは及ばずながらお力になりたいと存じますから、どうぞ御安心くださいますやうに……」
よもや生きて帰ろうなどと考えさせたり、家庭のことに心を残すようなことを決して言ってはなりません――と解説にはある。近所のオバさんたちから口々にこんなことを言 われたら、私だったら逆上して、刺身包丁で斬りかかるかもしれない。
さらに、〈戦傷軍人のお見舞いの言葉〉には……
「貴方様には御名誉の御負傷を遊ばされたと承りました。昨今のご様子はいかがでございますか。さぞかし勇ましく御奮戦遊ばしたことと存じますが、どちらの戦争で御負傷なさったのでございますか」
と、お国のために負傷した名誉を讃え、本人がいろいろと武勇伝を自慢できるようにするのが礼儀であります――と解説にはある。おまえはオレの負傷を喜んでいるのかと、私だったら逆上して、松葉杖で大きく振りかぶった一撃を食らわせるかもしれない。
そして一番難しい〈戦死者の家族へのご挨拶〉では……
「このたびは、××さんには勇ましい御戦死を遂げられまして、まことに御名誉なことと存じます。さぞかし華々しいお働きを遊ばしたこととお察し申し上げ、国民一同は深く感激感謝申上げて居ります。やがて護国の神として、靖国神社にお祀りされるご名誉を担はれますことと存じます」
本来ならばお国のために戦死したのは軍人の本望でありこの上ない名誉ですから、「おめでとうございます」と言うのが一番故人を讃えることになります――と解説にはある。私の葬式でこんなことを言われたら、靖国神社にやってくる連中を草葉の陰から末代まで呪ってやるにちがいない。
こんな礼儀作法が二度と「実用」にならないことを祈る。合掌。
月刊「自然と人間」2004年10月号掲載
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